【国立がんセンター】 東京都中央区築地5−1−1 平成3年(1991年)1月29日22時15分、急性肺炎のため井上靖氏はここ「国立がんセンター」三階で逝去された。1月22日に入院してから一週間後のことである。享年83歳。 この逝去時の様子は、ご家族が書かれた本に詳しい。 『私の夜間飛行』井上ふみ著・潮出版社 『グッドバイ、マイ・ゴッドファーザー』井上卓也著・文藝春秋 『父・井上靖の一期一会』黒田佳子著・潮出版社 最後の長篇は『孔子』、絶筆は詩『病床日誌』、未完は随筆『負函』であった。しかし、井上靖氏にはどうしても書いて残しておきたかった作品が三つあったようである。 『記憶するシュレッダー(私の愛した昭和の文士たち)』水口義朗著・小学館によれば、 1.『わだつみ』の後半 2.新聞記者の眼で見た終戦前後 3.親鸞 で、特に『新聞記者の眼で見た終戦前後』は、「中央公論」に掲載の約束がされていたそうである。 (ほぼ同様のことは、『増補井上靖評伝覚』福田宏年著・集英社にも書かれている) また井上靖氏のご実弟、森田達さんもこの「国立がんセンター」にて、平成6年(1994年)1月3日、多発性癌進行により逝去された。享年80歳。その時の主治医は、井上靖氏と同じ主治医だったそうである。(『井上靖グローバルな認識』藤澤全編著・大空社) |
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